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2007年09月 アーカイブ

2007年09月04日

「関連株」あれこれ①

「テーマに沿って投資先を選ぶ」

個々に物色する「個別買い」、指数の動きに沿う形で物色する「インデックス買い」のほか、
ある材料や業種に関係する銘柄をグループで買う「テーマ買い」というパターンもあります。
「関連株」は、相場が「テーマ買い」で形成される時の、簡単に言えばグループ分けのことです。

材料が特定の業種だけに関係するのであれば、たとえば「不動産株買い」「電気株買い」と表現できますが、多くの場合は複数の業種になります。
株式市場では「A」という材料が出たときに、それを相場におけるひとつのテーマとし、「A関連」と称してきました。

「テーマ買い」は株式投資をする上で、メカニズムや具体的なテーマなどを知っておく必要があります。
「国内の景気が良くなる」といっても、全ての業種が一斉に良くなるわけではありません。
何かの材料が出れば、恩恵を受ける業界や企業が業績向上を見込めるため、それらをくくったテーマを探すことは、投資先を選ぶ際に便利だといえるでしょう。

個別に有望と思える銘柄を探す作業が大変であることを考えると、
何らかのテーマに沿った「関連株」を買うことは、株式投資を効率的に行う近道となります。

「関連株」あれこれ②

「収益への貢献度見極め」

「テーマ」と「関連株」の作られ方を探ってみます。

株式市場では、収益が向上する企業を買うことが基本となりますので、
何か材料が飛び出した場合、市場参加者はそれが企業にどれだけ恩恵を与えるのかに注目します。
世間一般では注目度が高い話題でも、経済波及効果が小さければ無視されることがほとんどです。

テーマは株式市場でも定番のように扱われ、その問題が持ち上がるたびに関連株が注目を集めます。
相場格言に「国策には逆らうな」というのがありますが、政策をテーマにして「政策買い」が重要であることも覚えておきましょう。

「関連株」あれこれ③

「連想力で銘柄絞り込む」

「関連株」を探すのにはどういう方法があるのでしょうか。

たとえばパソコン需要が急増すると、それにつれて半導体需要が拡大しますので、
市場では「半導体銘柄」として注目されます。
少しひねると、半導体はちりひとつない状況下で製造されるので、そうした環境を提供するクリーンルームを手がける企業など、銘柄の裾野は広がります。

このように連想していけば、芋づる式に銘柄を発掘することも可能でしょう。

「関連株」あれこれ④

「為替に左右される輸出株」

輸出関連株が最も左右される要因は為替相場の動向といっもいいでしょう。
円高になると海外で残すと競争力が激しさを増すことからマイナス要因に、
円安になると国際競争力が増すためプラス要因になります。

また円安では為替差益、円高では為替差損が発生する点も見逃せません。

最近では対中輸出の拡大と共に、中国の景気も注目されるようになりました。
そこで輸出関連株でも対中ビジネスに積極的な銘柄を「中国関連株」、
さらに成長の著しい新興国向けの輸出に力を入れる銘柄群を「BRICs関連」と呼んでいます。

「関連株」あれこれ⑤

「成長期待などで人気に」

市場が広がり技術の進歩により成長が期待できる分野や、成熟産業でも価格が振れることで収益が大きく向上する分野などが「テーマ」となる条件です。
いくつかの分野にスポットを当ててみましょう。

・環境関連株
環境問題が年々深刻化することによって、
環境保護を目的としたビジネスが活発化するとの見方から脚光を浴びるテーマです。
環境汚染が進む中国などへの技術輸出も将来注目されそうです。

・IT関連株
IT関連株は文字通りITビジネスを手がける企業を指し、
情報技術関連、情報通信関連と呼ばれます。
携帯電話やパソコンのバージョンアップのように技術力の進歩で成長期待が大きい分野といえるでしょう。

・バイオ関連株
画期的な薬品が生み出された場合、特許によって開発した企業は製品化してから数年は莫大な利益を上げることが出来ます。しかも景気動向に左右されることが少ないという面もあります。

・市況関連株
成熟産業でも、市況回復で製品価格が上昇すれば収益が向上し、
成長産業と同じく利益が伸び株価上昇も期待できます。

・設備投資関連株
景気敏感株のくくりのひとつとして語られます。
世の中の景気が上向き、企業が需要の増加に対応するため、工場や生産ラインを増設するなど、
文字通り設備投資を活発化させる環境となったときに注目されます。
機械株や電機株、精密株が中心となります。

「関連株」あれこれ⑥

「話題や流行などチェック」

定番であるものとは別に、スポットで注目を集めるテーマもあります。
大きなニュースのほか、話題、イベントや流行などで、経済波及効果が大きければ、
それらの関連株を探して相場にしてしまうのが株式相場です。

こうしたテーマを見逃さないためにも、
普段のニュースを細かいところまでチェックする心がけが必要でしょう。

「関連株」あれこれ⑦

「出遅れ銘柄にも注目を」

ある関連株が物色された場合、中心になるのは最も収益面で恩恵を受ける銘柄で、
それがリード役になります。
株価で選考する銘柄がいくつか出ると、それらに資金が集中することが多いですが、
あるテーマについてもれなく一通り買う動きになるのが株式市場です。

注目しているテーマが買いを集め、それに乗り遅れてしまった場合などは、
株価で先行している銘柄を無理に追わず、関連株の中で出遅れている銘柄を買うと、
投資効率が良くなる場合があります。

「関連株」あれこれ⑧

「テーマの「寿命」見極めて」

スポット的な材料がテーマになる場合、一時的な人気に終わるケースが多いようです。
まず「どのくらいの期間、経済効果をもたらすか」を考えてください。

ファッションなどの1シーズンで廃れてしまうようなものは、
最初に注目された時点でテーマとして寿命が尽きることになります。
一過性のテーマである関連株を高値でつかんだ場合、
取り返しの付かないことになる可能性もあるので、寿命をよく見極めましょう。

2007年09月05日

ミニ日経平均先物①

「取引サイズを1/10に」

ミニ日経平均先物は、従来からある日経平均先物の取引サイズを十分の一にしたもので、
小額の資金でも取引することが可能です。
個人投資家も参加しやすく、使い勝手のいいマーケットといえます。

先物取引では、その品物を「あらかじめ決められた期限の日に、『今』取引した値段で買い取る(または売り渡す)」という約束だけをします。約束だけですからその時点で品物とお金のやり取りはしません。
ただしその約束を守らず逃げられてしまっては困るので一定の担保(証拠金)が求められます。

期限の日に「『今』取引した値段で買い取る」約束をすることを「先物を買う」、
「『今』取引した値段で売り渡す」約束をすることを「先物を売る」といいます。

先物取引なら、購入代金相当額や売り渡す品物の現物がそのとき手元になくても構いません。
取引する時点で必要なのは一定の証拠金だけで、
証拠金の額はその時点の現物の値段よりもはるかに小さく設定されています。

ミニ日経平均先物②

「現物で決まる清算価格」

先物を売り買いするというのは、「将来その値段で買い取る(売り渡す)」という約束なのですが、
その約束を果たす方法、すなわち決済方法は2つあります。

ひとつは、期限の前日までに、先物相場でついている時価で反対売買をする方法です。
先物を買ったならその時の先物価格で売り、先物を売ったならその時の先物価格で買い戻して、その差額だけをやり取りします。

もうひとつの決済方法は、期限日の現物価格(清算価格)で約束通りその品物を買い取る、またはその品物を売り渡すやり方です。
日経平均先物取引では「日経平均株価」という現物市場の株価指数が「品物」に相当します。
ところが、株価指数には形がありませんから期日の日の決済時に現物を買い取ったり、売り渡したりすることができません。
そこで、株価指数を対象とした先物取引では、期日日の現物市場の価格から清算価格を算出し、
その清算価格と、先物を買った値段、売った値段との差額だけをやり取りします。

先物の市場価格は、通常は現物価格とは別に形成されているのですが、
期日日の清算価格は現物市場の価格で決まるという点が大きなポイントです。

ミニ日経平均先物③

「証拠金は1枚10万円前後」

先物取引では、取引の単位を1枚、2枚というふうに枚数でカウントします。

先物取引では、評価損が膨らんで証拠金不足になると、追加の証拠金(いわゆる「追い証」)を求められますが、そのリスクを考慮すると、かなり潤沢に証拠金を差し入れておかざるを得ません。
リスク感覚を備えた個人投資家としては、この市場に参加すること自体、慎重になると思います。

このように個人投資家にとって敷居が高い市場ですが、
「ミニ日経平均先物」の誕生によってこの問題はかなり解決されました。

ミニ日経平均先物の取引額は、日経平均先物の1/10。
日経平均が18000円なら1枚の取引額は180万円程度です。
また必要となる証拠金額も同じく1/10ですから、この例でいえば1枚あたり6万5千円弱になります。
掛け目が大きい証券会社の場合はこれよりも高くなりますが、現状は10万円前後といった水準です。

ミニ日経平均先物④

「5円の値刻みもメリット」

ミニ先物は単に「小口の資金しかもっていなくても売買できる」
という意味だけでメリットなのではありません。

「取引単位が1/10」の利点は、日経平均先物では1単位の一発勝負しかできないところが、
ミニ先物なら10単位の売買ができる点にあります。
その結果同じ資金量でも、多様な売買戦略を立てることができます。

一方、日経平均先物の値刻みが10円単位であるのに対して、
ミニ先物は5円単位であるという違いも、メリットを提供します。
損切りするときなどがそうですが、日経平均先物は1値刻みが10円なので1枚あたり1万円がコストになります。これに対してミニ先物は、1値刻みの違いによる1枚あたりの損益変動は500円。
売買単位をそろえて考えて日経平均先物の半分ですみます。

ミニ日経平均先物⑤

「まず専用の口座を開設」

「先物・オプション取引口座」を開くには、
その証券会社に総合口座を持っていることが前提になります。

総合口座を持っていない証券会社で取引をしたい場合には、まず総合口座を開設し、
それから先物・オプション取引口座開設の申し込みをします。

すでに総合口座がある場合はホームページから開設申し込みができますので、
株価指数先物取引・株価指数オプション取引に関する説明書があるので、
それを読んだ上で申し込みフォームに必要事項を記入し送信します。

この申し込みフォームに株式投資の経験の有無、金融資産の額などの質問項目があり、
その内容をもとに証券会社内部の審査が行われます。

審査にパスすればその連絡が来ると共に必要書類が郵送されてきます。
それに必要事項を記載し、署名・捺印して返送し、証券会社から手続き完了の連絡が来れば、
取引注文ができるようになります。

証拠金については、「現金のみ」としている証券会社もあれば、
所有している株式を証拠金に代用できるところもあります。

ミニ日経平均先物⑥

「評価損は証拠金差し引く」

最低必要な証拠金ギリギリの額しか入金しないで取引するのは厳禁です。
建て玉を持つと、その評価額が証拠金額に反映されるため、
悪くすればすぐに追い証が発生する自体にもなりかねません。

各証券会社では、新規で取引注文を出すときの最低必要証拠金額とともに、
その建玉を満ち続けるための「維持証拠金」基準を示しています。
追い証は、実質的な証拠金額が、この維持保証金を下回ると発生します。

翌日までに追い証を入れなければ、建玉は強制決済され、
証券会社によってはそれ以後の新規取引を不可とする例もあります。

ミニ日経平均先物⑦

「保有現物株のヘッジにも」

現物株を保有している場合、観に日経平均先物の売り建ては、
市場が急落したときのヘッジとして使うことも可能です。

現物相場が大きく値下がりすれば、先物相場もやはり値下がりします。
そのとき、ミニ日経平均先物の売り建玉が利益を出しているはずですから、
現物株の目減り分をカバーする役割を果たします。

保有する現物株をヘッジする、あるいは市場全体の上昇下落を狙うことは、
ETF(株価指数連動型上場投資信託)を信用取引で売買することでもできますが、
信用取引では金利や貸株料が日々かかり、場合によっては逆日歩がかかることもあります。
先物取引ではそうしたコストはかかりません。

2007年09月06日

買収価値入門①再生価値を買う

「高収益事業の有無が焦点」

買収対象になりやすい銘柄を選んで投資するにはどういうことを気をつけたらよいでしょうか。
まずは買収者の気持ちになって考えることです。
買収者には二つの種類があります。ひとつは買収によって事業拡大を目指す事業会社。
もうひとつは最近話題になることが多い買収ファンドです。

買収ファンドは、投資家の金を集めてファンドを設立し、事業を買収します。
企業価値を高めたら、いつか転売して利益を上げることを目的としています。
株価が割安で、企業価値を高めやすく、将来転売が可能な銘柄が
買収ファンドのターゲットとなりやすいのです。

買収価値入門②業界再編を先取り

「友好的買収が決め手に」

株価が割安、企業価値を高めやすい、将来転売が可能。

実はもうひとつ大切な条件があります。
友好的に買収できることです。敵対的買収では、買収価値がつりあがって高い買収となりやすい上に、
買収後の経営がうまくいかないリスクを負うことになるからです。

最後の条件、友好的に買収できるというのが、実は一番難しい条件です。
日本には割安で企業価値を高めやすい企業はたくさんあります。
しかし自主独立経営を重視していて買収には同意しない企業がほとんどです。

買収価値入門③資産価値を買う

「PBR1倍割れ再び増加」

財務内容に特に問題がないのにPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れた銘柄は買収者の標的となる可能性があります。
PBRとは株価を1株あたり純資産で割った値です。1株あたりの純資産価値が千円で、株価が千円ならばPBRは1倍です。
06年に入り、敵対的買収で話題になった村上ファンド逮捕などでPBR1倍割れ銘柄を買うブームは終焉に向かいました。やがて再び資産価値を無視して売り込まれる銘柄が増えました。
その結果、東証一部のPBR1倍割れ銘柄は再び20%近くまで増えています。

冷静に考えて、これもまた行き過ぎだと思います。
失われた10年が終わり日本企業の財務内容は大きく改善しました。
コツコツと資産価値対比、割安な銘柄を拾っていくチャンスが再び訪れていると思います。

買収価値入門④収益価値を買う

「PER10倍は「激安」か」

最近日本株にPER(株価収益率:株価を1株あたり利益で割った値)でみて驚くほど安い銘柄が増えています。
PER10倍の「激安」銘柄もたくさん出てきました。
PER10倍がどれほど安いかというと、「利益の全額を配当したら配当利回りが10%になる株」ということです。
1株あたりの利益が百円でPERが10倍だとしたら株価は千円です。
千円に対して百円配当すれば、配当利回りは10%になります。

2007年09月07日

決算書の図式化で経営を読む①

「利息と資産、「線と点」に」

まず決算書の核となる「売上高・純利益・資産」という3つの数字に注目します。
はじめにこれら3つの数字の関係をつかんで起きましょう。

1年間の「売上高」からコストを引いて残ったもうけが「純利益」、
その純利益が年々「資産」として蓄積されていきます。

「売上高-コスト=純利益」として1年間の業績をあらわすのが損益計算書(P/L)、
資産の大きさを表すのが貸借対照表(B/S)です。

この両者は「P/L=線、B/S=点」というフロー(期間)とストック(時点)の関係にあります。
線のP/Lで利益が計上されれば、点のB/Sで資産が増えるという
P/L=原因、B/S=結果の関係になっているのです。

決算書の図式化で経営を読む②

「調達と運用で全体を見る」

ちょっとしたコツさえつかめばB/Sを読むことは難しくありません。
ポイントは「調達と運用」を意識して全体を見ることです。

まず企業が行う「調達」、誰からどれだけカネを集めたかということです。
調達には負債と株主出資の2種類があります。
負債は借入金のような返済義務のある調達、
株主出資は株主からの返済義務のない調達。

企業はこの「調達」した負債+株主出資を資産へ投資し、
「運用」資産をぐるぐると循環させます。

この循環がうまくいくと資産が増え、「調達した資金<運用中の資産」という状態になります。
すると剰余金が現れます。

儲かっている企業のB/Sには負債・株主出資・剰余金が並ぶことになります。
この「負債・株主出資・剰余金」の割合が財務体質と呼ばれます。

決算書の図式化で経営を読む③

「小さな資産で大きな利益」

一般に決算の比較といえば「売上高・利益」という損益計算書データが主でした。
1年でどれだけ売上高を稼ぎ、コストを差し引いてどれだけの利益を残しているか。
コレを観ることで会社の収益性を知ることが出来ます。

しかしこうしたP/L分析だけでは不十分です。
なぜなら、経営の効率が考慮されていないからなのです。
たとえば「利益1億円」を稼ぐ企業があるとして、それがどうすごいのかどうか、
「利益1億円」という事実だけでは判然としません。

もし仮に、この会社が規模の小さいベンチャーであれば「すごい!」となるでしょうし、
規模の大きな上場企業であれば「たった1億円の利益だけ?」となるはずです。
つまり「1年の利益をどれだけの事業規模で稼いだか」が重要なのです。

コレを測ろうというモノサシがROA(リターン・オン・アセット=総資産利益率)。
ROAは1年間に稼いだ利益を、貸借対照表の資産で割って計算します。
つまり「小さな資産(分母)で大きな利益(分子)を稼ぐ」のが理想だという考え方です。

決算書の図式化で経営を読む④

「FCFにみる「攻め」「守り」」

キャッシュフロー計算書をみれば、その企業がどんな活動でキャッシュを稼ぎ、
どこに使っているのかを知ることが出来ます。

キャッシュフロー計算書は、1年間のフローのもうけを「収入-支出=純収入」として計算します。
企業のキャッシュフロー計算書では、1年間の収支を「営業・投資・財務」の3区分に分けて表します。

まず営業キャッシュフロー(CF)は本業で稼いだお金です。
この営業CFはしっかりプラスを計上しなければなりません。

投資CFは、設備投資やM&Aにかかわる収支です。
健全な企業ではこの部分でマイナスが計上されます。
将来のことを考えて投資を行っているからこそのマイナスというわけです。

最後の財務CFには借り入れ・返済や配当などの株主還元にかかわる収支が計上されます。

決算書の図式化で経営を読む⑤

グループ全体の業績を向上させよう、というのがグループ経営です。
昔と違って親会社の業績だけを考えることなく(=部分最適)、
グループ全体の業績を向上させること(=全体最適)が重要です。

現在の企業グループは、複数のグループ企業を通じて、多数の事業を同時並行的に展開しています。
これら複数の事業が全部うまくいくことは少ないのです。
グループ内には黒字と赤字が混在しているほうが一般的です。

このような、企業グループにおける各事業の業績を表すデータが「事業セグメント情報」です。
このデータから各事業別の売上高や利益の内訳を見ることが出来ます。

決算書の図式化で経営を読む⑥

「国内人口減少、海外に活路」

企業の売上高は人口に比例していることが多く、
人口減少はそのまま企業売上高の減少につながるだろうからです。

こうしたわが国の人口減少を前にして、多くの大企業が「海外売上高」に活路を開こうとしています。
日本の人口は頭打ちでも、中国をはじめとしたアジアなど海外にはまだ人口増加と経済成長が見込まれる地域が多く存在します。
そういった国々に販売ルートを開拓できれば、まだまだ企業の成長も可能になるというわけです。

企業が現時点でどの程度の海外売上高を上げているのかというデータは、
「地域別セグメント情報」で見ることができます。

2007年09月08日

新興市場の新潮流①ジャスダック

「先端企業向け新市場創設」

国内の新興市場で七つ目となる新市場の名称をNEO(ネオ)とすると発表しました。

利益や純資産などの上場基準をジャスダックの既存市場より緩くし、
先端技術の開発や新しいビジネスモデルを展開する企業を集める考えです。

ジャスダックはこうした企業に資金調達の道を開くため、
新しいチェック機能を設けます。

特徴的なのは「マイルストーン開示」と呼ぶ行程表の公表です。
上場後数年で黒字化する中期経営計画などに対し、
前提となる事業環境や条件を付記します。
四半期ごとに進ちょく状況を公表させ、投資家が確認する仕組みです。

他の市場に比べ開示を義務付けられる情報量が多く、
投資判断するための材料を得やすい市場になることが期待されます。

新興市場の新潮流②東証マザーズ

東京証券取引所がベンチャー企業向け市場である「マザーズ」の改革に乗り出しました。

マザーズは国内の新興市場ではジャスダックに次ぐ規模です。
十九社がマザーズを足がかりに一部上場を果たしています。

しかし錠常時の経営計画を実現できず、
業績が低迷する企業が多いのも事実です。

そこで新規上場の審査基準を見直し、
企業の成長性についてより厳密に審査する構えです。
また業績不振企業の退出ルールも明確にします。
「マザーズを最も質の高い新興市場にする」狙いです。

新興市場の新潮流③大証ヘラクレス

「複数の上場基準、門戸広く」

大阪証券取引所は新興企業向け市場ヘラクレスを運営しています。
上場基準には潜在的な成長力がある企業向けの「グロース基準」と
一般企業向けの「スタンダード基準」があり、
スタンダードは損益などで三種類に分かれます。

大証が力を入れているのが投資家保護規定の整備です。
暴力団など反社会的勢力を経営や事業から排除するため、
ヘラクレス上場企業に対し、体制整備について毎年開示させる
「コーポレートガバナンス報告書」への記載を義務付けます。
親子上場については上場審査の際に親会社に対して子会社を上場廃止にするような
グループ再編の計画がないと確約する書面を提出させます。

旧ナスダックジャパンから市場運営を引き継いだ直後を除くと、
これまでに二十一社が東証・大証の一・二部市場にくら替えしました。
東証と重複上場している企業もあります。

新興市場の新潮流④米英の基準

「改革や活性化の参考に」

質の向上に力を入れているのが米国のナスダックです。
マイクロソフトやグーグルなどハイテク関連の成長企業を中心に約3200社が上場しています。
上場会社に対して時価総額や株主数など厳しい数値基準を設け、
満たせなかった場合には上場廃止にしています。

粉飾決算を防ぐため、企業に対して社内のチェック体制の構築を義務付ける
SOX法(企業改革法)も米国市場の特徴です。

ナスダックと対照的なのが英ロンドン証券取引所の新興市場(AIM)です。

上場や上場廃止について細やかな基準を設定せずに、
日本の主幹事証券にあたる指定アドバイザーが
上場の審査や上場後の監督を提供するだけで、
企業への規制は全てアドバイザーが責任を負います。

緩やかな上場基準が人気を集め、上場企業は急増しており、
新規上場社数は世界一になりました。

経済のグローバル化を背景に、
今後も資本市場間の競争はますます激しさを増していきそうです。

2007年09月09日

外貨建て商品のもうけ①預金

「手数料負担で短期不向き」

金融機関の窓口やインターネットバンキングなどで期間を指定してお金を預け入れ、
満期日には元本に利息を加えた額が支払われる点は円の預金と同じです。

しかし運用する通貨は円ではありません。

異なる通貨の交換取引(為替)をともなうので、
期日のレートが変動していた場合には影響を受けます。

預金時よりも円安が進んでいれば外貨を円に換えたときに利益が出ますが、
円高なら損失を被ります。
また、金融機関では円と外貨の交換時に手数料がかかります。
米ドルで一ドル当たり最大で1円、往復売買で2円と、
かなり高めの設定になっていることが多いです。

つまり金利分を相当な部分相殺してしまうので、
短期間で出し入れするような投資には向きません。

手数料負担を嫌う投資家の中には、
預金に似た運用法が可能なFXを選択される方もいます。

外貨建て商品のもうけ②投信

「MMF,為替差益が非課税」

外貨建て債権も預金と同様、利息収入を積み上げる貯蓄タイプの商品です(割引債は除く)。
主要国の政府や政府関係機関、国際復興開発銀行(世界銀行)などの国際機関、
世界的に名前の知られた欧米の民間企業が発行しており、
安全な運用先として人気を集めています。

大きく分けて債権型の公社債投信と株式投信があるほか、
短期国債中心の運用で安全性を高めたMMF(マネー・マネジメント・ファンド)があります。

MMFでは利息に相当する収益分配金と、
解約時の為替相場が購入時点よりも円安だった場合の為替差益が利益になります。
収益分配金は20%の税金が差し引かれる反面、為替の差益は非課税です。

外貨建て商品のもうけ③証拠金取引

「スワップ金利も判断基準に」

外国為替証拠金取引(FX)は外貨預金や債権、
投資信託に比べると投機色の濃い商品です。

FXでは購入した通貨の値上がりを狙うのが基本。
長い目で見て伸びそうな国や通貨を物色するのもいいですし、
デイトレードといった取引をする方もいます。

またFXは外貨預金のように日本と欧州、オセアニア諸国との金利差を享受することもできます。
この金利部分は「スワップポイント」(通称スワップ金利)と呼ばれ、
投資対象や業者選びの際に重要な判断基準になります。

2007年09月10日

企業価値を計る①市場株価法

「株価をベースに算出」

企業価値は、大きく本質価値と市場価値に分けることができます。
本質価値はインカムアプローチとも呼ばれ、
代表例が将来生み出すキャッシュフローの現在価値である、
割引キャッシュフロー(DCF)法です。

市場価値は文字通り市場で形成される株価が基礎になります。
マーケットアプローチとも言われ、簡単に計算できるのが特徴です。
なかでも株価をそのまま使う市場株価法は、上場企業同士の合併や経営統合で、
合併比率や統合比率を決める際にもっとも重要視されます。

企業価値を計る②類似会社比較法

「EBITDA倍率に注目」

企業価値の評価法として、
広く普及しているのが類似会社比較法です。

つまり、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)といった
株式投資をする人なら日常的に使っている指標です。

しかしPERは有利子負債に代表される債権者の価値が十分反映されないなど、
弱点もあります。

そこで最近はEV(企業価値)/EBITDA(利払い前税引き前償却前利益)倍率と呼ばれる
指標に注目が集まっています。

これは株式時価総額に有利子負債を加えたEVを、
キャッシュフローの一種であるEBITDAで割って算出するものです。

企業価値を計る③収益還元法

「安定企業を手軽評価」

収益還元法は、企業が生み出す純利益やキャッシュフローを、
期待利回りで直接割って、企業価値を算出します。

簡単でわかりやすい点が特徴で、
収益が安定した企業の価格算定に向いています。

ただ利回りの設定次第で結果が大きく変わるという問題があります。

企業価値を計る④DCF法

「純現金収支をベースに」

企業価値評価の代表的な手法に、割引キャッシュフロー(DCF)法があります。
これは将来生み出すフリーキャッシュフロー(純現金収支:FCF)を一つ一つ今の価値に直し、
合計して企業価値を算定する方法です。
FCFの現在価値の合計は正味現在価値(NPV)と呼びます。
現在価値に直すのは、お金に時間的価値があるからです。

DCF法で使う割引率には加重平均資本コスト(WACC)を使います。
これは有利子負債の利子率である負債コストと株主資本コストを加重平均したものです。

DCF法には落とし穴もあります。
いくつもの前提を置いているため、売上や利益の見通しが甘かったり、
割引率を低く見積もったりすると株価が高く出てしまうからです。

2007年09月11日

統計で読む株式相場①

「「仮儒」の動きに要注意」

相場を動かす要因として需給面では信用買い残、裁定買い残など
いわゆる「仮儒」と呼ばれるものも少なからず影響を与えています。

三市場信用買い残と日経平均の推移を比較しますと、
日経平均が上昇している時には三市場信用買い残が増加し、
日経平均が下落しているときには減少するなど、
同じような動きを見せることが多いです。

このため、日経平均が上昇している時には
増加している信用買いが日経平均の上昇に寄与します。

一方、日経平均が調整色を強め、評価損益率が悪化した局面では、
信用買いの手仕舞い売りが相場下落につながることも考えられます。

裁定買い残(現物買い、指数先物売り)と日経平均の推移を比較すると、
これも日経平均が上昇している時には裁定買い残が増加し、
日経平均株価が下落しているときには裁定買い残が減少している場面がよくあります。

これは先高期待から先物が買われると、
現物と先物の価格差の拡大から裁定買いが入りやすくなり、
逆に先安感から先物が売られると、現物と先物の価格差の縮小から
裁定解消売りが出やすくなるためです。

このように、現物先物指数である日経平均の動きや、
個別銘柄の動きを見る上では、信用買い残や裁定買い残など
仮儒の推移にも注意を払う必要があります。

2007年09月12日

統計で読む株式相場②

「SQ値の維持、ポイントに」

SQ値とは先物オプションの最終決済日に行われる差金決済に使用される指数のことで、
指数を構成する各現物株の現物相場での始値から算出される指数のことです。

日経平均とその月のSQ値を比較すると、日経平均がSQ値を上回っていると上昇局面となり、
SQ値を下回っていると調整局面となっている場面が多く見られます。

また日経平均のSQ値をみる上ではSQ当日にSQ値を上回っているかどうかだけでなく、
その後のSQ値を維持できるか否かが重要なポイントの一つと考えられます。

2007年09月13日

統計で読む株式相場③

「外国人の先物売買に注意」

外国人の売買で、現物は年金資金やオイルマネーなど
中長期的なスタンスの資金が多く含まれると見られるのに対して、
先物はヘッジファンドなどの投機性の強い資金が多いと見られ、
これが売買の動向に違いが出る要因と考えられます。

外国人の買い越しが目立つと、最低買い残は増加し、
売り越しが目立つと減少しています。
いくら外国人が現物市場で買い越していても、
先物市場で売り越していると、日経平均の上値を押さえたり、反落の要因となり得ます。

今後、先物の動きを見る上では委託販売に占めるシェアが
約7割と高い外国人の動向が鍵を握っているといえます。

このため、投資主体別の動向などから日経平均など相場の動きを見るには、
現物に加えて先物の売買動向にも注目しておくことが重要なポイントと考えられます。

2007年09月14日

統計で読む株式相場④

「売買代金で強弱を計る」

通常は日経平均と売買代金の推移を比較すると、
日経平均が上昇している時には売買代金が増加ないしは高水準で、
逆に日経平均が下落しているときには売買代金が減少あるいは低迷していることがよくあります。

さらに、日経平均が上昇している中で売買代金が伸び悩みあるいは減少してくると、
反落しやすくなります。

また、日経平均の価格帯別に累計した売買代金の分布から
戻り売りの出やすい水準などを推計することができます。

商いの増加を伴わない上昇は力が弱く、いずれ反落し、
調整局面入りの可能性が高いと考えておく必要があります。

2007年09月19日

グローバル市場①円キャリー取引㊤

過去2年度の国際金融市場における資金循環を見るに際しての
最大のキーワードは「円キャリートレード」だと思います。

円は最強通貨であるかそれとも最弱通貨あるかのどちらかの場合がとても多いといえます。
さて、これだけ一方的に円相場が両極端に振れがちであることを、
どのように解釈すればいいのでしょうか。

おそらくここでは「円キャリー取引」をキーワードとしておけばつじつまが合うように思うのです。

つまり、昨今のグローバル市場におけるお金の流れは
「円」→「円を除く多くの外貨」(円キャリー取引)か、
もしくは「円以外の外貨」→「円」(円キャリー取引の巻き戻し)というように
どちらか一方向の流れをとることが多いのです。

このようなマネーの流れが主流を占めている限り、
複数の外貨で分散投資をすることによるリスクの分散効果は低下していると考えるべきでしょう。

いわゆるグローバルバランス型ファンドが売れ筋ファンドになっています。しかし少なくとも短期的に見る限り、
「複数の通貨への分散投資によるリスク軽減効果」は相当希薄になっていると考えた方がいいと思います。

グローバル市場②円キャリー取引㊦

「内外金利差の影響大きく」

円キャリー取引をもたらした最大の原因は、
円金利と欧米金利の差が急速に拡大したことです。

こうして為替相場を決定する要因として一躍表舞台に登場したのが「内外金利差」でした。
過去の例を見ても、日米の短期金利差が3.5%以上になると、その金利差が為替市場に対して与える影響力が急に強くなることが知られています。

世界的な投資マネーのリスク許容度が低くなると、
豪ドルから多くの場合は米ドル経由で円に資金が還流します。
このときにはナスダック市場で投資されていた資金の一部も回収されて円に戻ってきます。
つまりこの過程で、円高・米ドル豪ドル安とナスダック安が進行するわけです。
こうした円高、米株下落を受けて日本株も売られやすくなりがちなのです。

2007年09月20日

グローバル市場③米長短金利と米経済

「「景気後退」入りの可能性も」

「TB3ヶ月ものレートが10年国債の市場利回りを一時的あるいは数ヶ月以上連続して上回れば、それから1年~1年半程度経過した時点で米国はリセッションに陥る」

今回の長短金利逆転をもたらしている一方の理由である「長期金利の低水準維持」には、
従来見られなかったいくつかの背景があることは事実です。
そのひとつは超低金利という事情を抱える日本からの大量の米国債権投資。
ふたつめは人民元相場上昇を抑制するために「ドル買い・人民元売り」を大量に行い続けてきたために
膨大な外貨準備を抱え込むに至った中国が大量の米国国債を購入してきたこと。
3つめは資源価格の高騰でかつてない余剰資金を抱え込んだ資源国が米ドル建て国債の大量取得に向かったことです。

2007年09月21日

グローバル市場④米FFレートと日本株

「少し遅れて同じ方向に」

従来から債券の世界では「米国の債券市場と日本の株価との間の逆相関」
は常識とされてきました。
言い換えると「米国債券利回りと日本株とは同じ方向で動く」ということです。

米国の金利政策はわが国以上に機動的でかつその幅は大きいのが特徴とされます。
こうした米国の金利と日本株との関係に高い相関関係を見出すことができるのだと思います。

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